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相手の心が開くまでのプロセス

第三の要諦: 『アプローチ』


営業においてのアプローチというと人によって受け取り方の違いが有りますので、この記事でお話しする『アプローチ』をまずは定義します。この記事でのアプローチとは、「第一印象が終わってから相手の心が開くまで」と定義します。

前の要諦:『第一印象』

第一印象では「自分自身の差別化」をして初対面の相手に拒絶されないという事をしました。
アプローチではその相手に対して、今度は心を開かせなければいけません。第一印象が終わった段階では初めて会った営業マンに対して、まだ心は閉した状態です。
この時、相手の頭の中で「なんて言って断ろうか」などと考えているかたもいます。この状況で商品の説明をしたり、商談に入ろうとするのはNGです。
これをやってしまう事は、出会ったばかりでまだお互いの事をよく分かっていない異性に、プロポーズをしてしまう様なものです。時期尚早ですね。焦ってはいけません。

このアプローチの段階では相手の心の壁を取り除かなければいけません。冒頭でアプローチは「心を開くまで」と定義しましたが、逆に相手の心を開かせる事ができなければアプローチは失敗なわけです。

では、どうやって相手の心を開いていけば良いのかというお話しをしていきます。

その前に、アプローチ以外の項目にも共通する重要なことをお伝えしておきます。
人は自分に関係する事には興味が有るが、自分に関係のない事には全くと言っていいほど興味が無いのです。
自分や自分の身内が困っていたり何か問題が有れば何とかしようと思いますが、知らない地域の知らない人がどんなに苦しんでいても実際に何かをしてあげる事はなかなか有りません。
これは、何より自分を守らなければいけないという人間の本能で仕方のない事ですので、人間にはこの様な傾向が有るという事を心に留めておいてください。

それではアプローチを失敗しない為のお話しをしていきますが、アプローチの要諦をお伝えする前にテクニックのほうを先に説明していきます。

アプローチのテクニックは次の3つです。
  • 自己開示
  • 褒める
  • 自社のデメリット
それぞれ解説していきます。


自己開示
自己開示とはそのままで、自分の事を相手に開示します。。自己開示で気をつけてほしいのは、相手は今のところ営業マンに特に興味が無いという事です。自分開示をしようとして、長々と喋ってしまうと逆効果になります。

ですので、自己開示は短くする。できたら15秒以内で終わらせてください。
開示する内容も簡単な事柄で構いません。
・自分はどこからきたのか。自分の年齢。
・飼っているペットの話し。
・家族の話し。
・趣味の話し。
などなど、なるべく相手に好印象を与える事柄を選んで簡単に伝えてください。長い話しは相手が嫌がりますので、簡潔に15秒以内で。


褒める
褒める事もテクニックとして有効では有りますが、少し注意が必要です。褒めるという行為は、一歩間違うと逆効果になってしまう可能性があります。「嘘くさいな」とか「売りたい為に言ってるな」などと思われると、相手が引いてしまう場合が有ります。

褒める時は、心の底から思ってますという雰囲気でさりげなく褒めると良いと思います。


自社のデメリット
自社の商品やサービスの良いところを一生懸命に伝える営業マンが殆どですので、それを逆手に取って意表をついて警戒を和らげるというやり方です。自社のデメリットを伝える際にはコツがいります。
デメリットはデメリットでも不成約につながるデメリットは伝えないほうが良いという事です。
どんなデメリットを伝えれば良いかと言いますと、デメリットの様に聞こえるけど実は大したデメリットではない事です。ゴールはあくまでも契約書にサインをしてもらう事です。それを踏まえた上で伝えるデメリットを選びましょう。


それでは次からは、
アプローチを成功させる為の要諦です。
  • 不快にさせない。
  • 断りに反応しすぎない。
  • 質問して相手に喋らせる。
この3つについて解説していきます。


◾️   不快にさせない
これは営業の商談の全てのプロセスで意識してほしい要諦です。
人間の判断は最終的に「良い」か「悪い」かの二択になります。不快を与えるというのはこの2択の「悪い」の判断をさせてしまうという事です。つまり相手に最終的に不成約を選ばる結果につながってしまうというわけです。

では、どのようにして相手に不快を与えないようにすれば良いのかという事ですが、そんなに難しい事ではありません。
先ほどもお話しした長々と自分の喋りたい話しをしないとか、そのような事に気をつけていれば大丈夫です。
・相手の興味の無い話しをしない。
・相手の言った事を否定しない。
・こちらの意見を押し付けない。
などです。大体これらのことをしてしまい、相手に不快を与えてしまうパターンが殆どです。

ただ、これらは簡単な人には簡単にできるのですが、これらがダメと分かっていても何回も繰り返してしまう営業パーソンもいらっしゃいます。
心当たりのあるかたは、メモ用紙などにこれらを記入して持ち歩き、「やってはいけないリスト」として常に見返せるようにして意識し続けなければいけません。

◾️   断りに反応しすぎない
先ほども述べましたが、このアプローチの段階でも断りは来ます。そして、その断りというのは、殆どが本気の断りでは無い場合が多いです。
「とりあえず断る」「よく分からないから断る」「必要の無いものを買わされそうだから断る」など、曖昧に断って来る場合が殆どです。
しかも相手の口から出でくる断り理由は、心で思ってる事とは別の言葉で出てきます。
「今忙しいので」「お金がないので」「必要ないので」など、その場で取りつくろった理由で断ってきます。
この断りに対して真剣に向き合ってしまうと、非常に精神的ダメージが大きくなってしまいますし、契約になるであろう人とも最後まで商談が進まなくなってしまいます。

では、これらの断りをどのように対処すれば良いのかと言いますと、「無視」してもらって構いません。極端に言いますと相手は嘘(嘘を付いている自覚は無いですが)をついて断っているわけですから、そこに対してこちらがどうこう言っても話しは噛み合いませんし、こちらが断りに怯むと分かれば相手は断り通して営業マンを帰らせようとします。

ですので、アプローチ段階の断りに対しては、軽くあいづちをして流してしまうか、もしくは都合の悪い事は聞こえてませんというくらいの気持ちで良いと思います。


◾️   質問をして相手に喋らせる
アプローチでは最終的に相手が心を開いたのかを確認したいですし、相手に気持ち良くなってもらう為にも喋らせなければいけません。喋ってもらう為には、質問をしなければいけません。質問の仕方は無限と言って良いくらいに数多く工夫できますから、色々と試行錯誤してみてください。

ここで、話しを雑談に持っていこうとする営業マンもいらっしゃいますが、雑談をするなら必ず相手が興味がありそうな話題を振ってください。玄関や家の中を見渡せば、大体のお宅や会社では、その人の興味がありそうな事のヒントが隠れています。
雑談は無理にする必要はありません。相手は、営業マンが来てるいう事は何かを売ろうとしているのは百も承知ですので、商品に関する質問をしてもそれは自然な流れなので何の問題もありません。

アプローチでは、相手が気持ち良く喋ってくれそうな話題を見つけて、質問できたら良いですね。


まとめ
始めのほうで述べたテクニックだけを駆使しても、よりアプローチは失敗しにくくなると思いますが、大事なのはテクニックよりもアプローチの3つの要諦です。特に相手を不快にさせないという事がもっとも重要と思ってください。
冒頭でもお伝えしましたが、相手は自分に関する事以外には殆ど関心がありません。相手の興味の無い事をこちらの都合で喋ったのでは、どんどんと相手との心の距離は遠ざかっていくばかりです。
是非、相手がどんな事に興味が有るのかを、真っ先に考えられる営業マンになってください。

ちなみに、心が開いてきたかの判断ですが相手が「自分の話し」をし始めたら、そろそろ心が開いてきたなと思ってください。


・次の要諦:『ターゲット』
6つの要諦

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